■1979年(初優勝前年)各大学リーグ展望②
2011/09/16
Fri.
09:28
●資料ラグビーマガジン1979年11月号
「特集」 関東・関西・九州大学シーズン展望
関東大学展望
今年は明大が昨年の雪辱に燃えている。 FWに英国遠征組が大量に入り、伝統の重量FWはますます健在だ。一方、昨年の覇者日体大も連覇に向けて着々とチームづくりを行い充実している。慶應、筑波もあなどれないが筑波は今季「台風の目」になりそう。また名門・早大がどう立ち直るか、注目される。そしてリーグ戦では久々に法大が復活のきざしをみせており他校を一歩リードしている。今シーズンへの興味は尽きない。
◆関東大学対抗戦グループ
- 陣容充実の日体大と明大が「2強」 -
☆ 筑波大 ☆☆☆☆☆
最重量FWを誇り、一番のダークホース
今シーズン、一番気になるチーム。ファンによって、それは様々だろうが、おそらく筑波大ということになるのではないだろうか。
ご存じのように、筑波大は英国から客員教授として招かれたグリーンウッド氏がコーチをしている。スコットランド代表のキャップを20も持ち、ブリティッシュ・ライオンズの主将まで務めた経歴の持ち主。現在、イングランド協会のスタッフ・コーチでもある。
そんな国際的な重鎮が、「日本は練習をやりすぎる。量より質が大事」と改革に乗り出したのだ。
どこをのぞいても地獄さながらなのが夏合宿。山中湖畔の筑波大だけが優雅な夏をすごした。猛練習こそ強くなる最短距離と信じる伊与田監督ら、日本人コーチングスタッフとの間に、まだ多少の混乱があるようだが、今季の「グリーンウッド采配」は興味津々である。
しかもFWが「重戦車」明大のお株を奪う関東一、いや日本一の85.5kgの重量を誇る。2年目の近江を中心としたフランカー陣の機動力もあって、迫力を感じさせるFWに成長した。
穴といえば首藤の抜けたSOぐらいだが、名手勝田主将がHB団をうまくリードするだろう。替え玉投票事件で、あたら交流試合への出場権を棒に振った悔しさもあり、戦力面からも期待が持て、成否を見守りたい練習法の改革とともに気になるチームといえる。(交流試合:当時の大学選手権出場枠は8枠であり、そのうちの関東4枠をかけて、リーグ戦グループと対抗戦グループ上位4校で行われた出場権獲得戦)
この年の筑波大学への期待度が高かったことは、
別記事「チーム短信」からもうかがえます。
毎年、出足好調の筑波大をみて、今年はやりそうだと思っても、シーズンが深まるにつれて下降線をたどっていくのが今までのパターンだった。
それも授業が4時55分まであり、練習は5時すぎに始まるという悪条件、秋の日は暮れるのが早い。部員がグラウンドに出るときはすでにボールもよく見えず、といったところで、他校にくらべ練習量の不足からスタミナ切れで戦力は低下。おまけに東京まで電車を立ちっぱなしで2時間もかかり、1試合消化したほどの疲労を背負っての試合というわけである。
しかし、今年はグラウンドに4基の照明灯がつけられ、練習量も十分。東京への試合も前日から出かけて泊まりこむという万全の態勢をとっているので、シーズンにかける意気込みはかなりのもの。今年の筑波大は勝田主将以下、やる気十分で、交流試合出場はもちろんのこと、学生選手権で日体大、明治、慶大の一角を崩さんものと虎視眈々である。
とにかく、今年の筑波は手ごわそうだ。例年に比べ本物の感触である。
☆ 明大 ☆☆☆☆☆
新人の成長で層も厚く、抜群の安定感
筑波大が上位陣を脅かすダークホースとするなら、優勝候補はどこだろう。V2ねらいの日体大もあなどりがたいが、ここは明大をあげるのが順当なようだ。
主将に任命されてわずか3日、左ヒザのジン帯を切断して戦列を離脱したファイター木村。2年目を大いに期待された河瀬も故障が重なり、北島監督の構想とはかなり違ったFWになったが、層の厚さがレベルダウンを感じさせない。ウェートでは筑波大に一歩譲る82Kgではあるが、破壊力はNO8瀬下の成長もあってナンバーワンの座をキープしている。
フッカーに日本学生の代表に選ばれた藤田、左のフランカーに英国遠征高校代表のキャプテン岸と2人のフレッシュマンが抜擢されているが、この2人もいい。
特に藤田は春、FBとしても使われたように機動力もある。木村主将のあとは、中谷と2年目井上で埋めるが、中谷は昨年のレギュラー、井上は豪州遠征高校代表と経験豊富。
北島監督も「FWは信頼できる」とバーンと胸をたたくほどだ。
バックスもSH窪田以下、FBの橋爪まで昨年のレギュラーが5人も残っていて心強い。SO砂村、渡辺和、金谷の両CTB、FB橋爪の縦の線が健在なのが一層期待をいだかせるが、北島監督は「両CTBが不安」だという。
確かに平井、井沢の目黒組の3年生コンビは、ここぞというときの決め手には欠けるようだ。しかし、むしろ不安なのは両CTBが故障した場合の控え。一本目と二本目では差がありすぎ、絶対に負傷することの許されぬCTBに一抹の問題を残している。
☆ 日体大 ☆☆☆☆☆
第一列目の穴を見事にカバー、HB団に難点
V2にかける日体大もすばらしいチームに仕上がった。大場主将以下、綿引、深沢と3人がそろって抜けたFW第一列。9シーズンぶりの学生日本一の原動力となった3人の穴がどこまで埋まるかが、今季の日体大FWの最大のポイントといえたが、あの強烈FWをささえてきた二本目だけのことはあった。
綿井監督は、この点を「去年のコツめいたものを覚えているようです」と語ったが、夏合宿での明大戦で、こんなシーンにぶつかった。
日体大がゴール前でPKを得たときのことだ。何と日体大は二度もスクラムトライをねらいPGではなくスクラムを選んだ。
結果は失敗だったが、「明大FWなにするものぞ」の気迫は、松本、内村のプロップ陣の自信の表れでもある。春以来のウェートトレーニングの成果もあってFWのパワーは昨年なみとみてよい。
綿井監督が「赤間二世」と期待する井場が、左腕骨折がいえて出場できるのも明るい材料だ。
ただ、バックスはHBとFBに不安が残る。ラインはピカ一でWTB辻ら去年のメンバーがずらりと並ぶが、それを動かすSO永山に芳野同様の期待をかけるのはどうみてもムリが生じる。FWとバックスをつなぐキーマンも1年生の小野だ。
各校のフランカーが充実しているシーズンだけに、かなりのプレッシャーを覚悟する必要がありそうで、HB団がV2へのカギとなりそうだ。
☆ 慶大 ☆☆☆☆☆
大量卒業生でメンバー一新、大型FWに期待
慶大が昭和47年以来保持している「3位以内」(注:この年は昭和54年です)の座を、ことしも守れるかどうか、この点もひとつの焦点だ。
FWの中で残ったレギュラーはフランカーの渡部ただ1人。バックスも卒業生が多く、まるで見知らぬチームのようになってしまった。正直いって苦しいシーズンだ。
だが、明るい材料もある。ラグビーのルーツ校としての長い歴史の中でも、史上初という大型FWが完成したことである。堀越コーチは「大きくはなったが緻密さがありません」というが、手持ちの駒を鍛え上げ、鍛え抜き、毎年それなりのレベルに引き上げてしまうのが「黒黄」の伝統だ。
夏合宿で、それこそボロ雑巾のようにしぼられて生まれてくる慶大のしぶとさ。これはやはり各校にとって脅威である。
80KG台がフッカー水谷の88Kgをトップに5人。サイズに泣いてきた慶大が、その弱点を埋めたとなると、残るポイントは経験不足をどこまで克服できるかだ。
経験不足という点では冨安-小西卒業後のHB団が慶大一番の問題点。桜井-市橋で埋めることになるが、ここがスムースに動かないと80KgFWの頑張りもカラ回りとなる恐れが十分にある。WTBの四津、大高にボールが回れば勝負になるが・・・・・。
☆ 早大 ☆☆☆☆☆
本城ら「新人・三羽烏」の頑張りに望みをかける
さて、問題の早大である。学生ナンバーワンの座から遠ざかって2年。他校から見れば「たった2年」だが、そうはいっておれないところに早大としての悩み、苦しみ、そして誇りがある。
8月17日から30日までの第一次、そして選手を40人あまりにしぼった9月4日から10日までの第二次と、2度にわたる異例の菅平強化合宿を張ったところに、3年目の復活にかけたOB、学生の意地が感じられる。
ただ、第一次合宿は不運に見舞われ、再建計画が大きく狂った。300万円かけてグラウンドに入れた新しい土がまだなじまないうちに大雨が降り、菅平一の悪いグラウンドになってしまったためだ。
バックスにSO本城、CTB吉野、FB津布久とフレッシュマンが3人も起用される若いチーム。やることがいっぱいある合宿での思わぬ災難は、それだけでひとつのハンディを負ったことになる。
第1戦が10月7日の対東大戦。幸い二次合宿が天候に恵まれ、開幕戦までにじっくり仕上げる時間を持てたが、首脳陣としては、やはりあせりを禁じ得ないだろう。
戦力面ではFWの第一列目が弱い。第二列、第三列の力は昨年以上のお力があるという白井監督も、ここだけはまだ未解決。76Kg弱の軽量FWは、肝心のプロップ陣がしっかりしていないだけに、ことしのアキレス腱ともいえる危険を含んでいる。
「揺さぶりの早大」として威力を誇ったバックスにも、ことしは危険が存在する。ヒザの皿を割り、昨シーズンをまるまる棒に振った日下が復帰し、SO、CTB、FBと、どこでもこなせるようになった明るい材料もある。
しかし、やはり広野、石橋、松尾の抜けた穴は大きすぎる。英国遠征の高校代表、そのメンバーの中でも飛び抜けた存在だった本城はじめ、フレッシュマン三羽烏がバックスを固めるが、早稲田の看板を背負わせるのは荷が重いのではなかろうか。
今年も早稲田は他校のレベルアップもあって苦しい。
☆ 青学 ☆☆☆☆☆
小笠原氏のコーチで、FWがパワーアップ
リーグ戦グループ代表との交流試合出場権を争う対抗戦の上位校は、前記の5校と思われるが、青学大が肉迫していることも今季の特徴だ。
かつての日本代表FWのファイター、小笠原氏(元近鉄)に臨時コーチをお願いし、FWが大きく成長した。
バックスからの卒業生はSH黒川ただ一人。これでFWがパワーアップしたとなれば、それこそ「鬼に金棒」である。49年日体大、50年慶大と大物を食った歴史が、ことしあたりよみがえることも十分考えられる。
☆ 立大、学習院 ☆☆☆☆☆
2勝候補の立大、学習院
新加盟のとし(昨年)に暴れた帝京大は大量卒業でレベルダウン。残る立大、学習院、成城大、東大、成蹊大はどんぐりの背比べ。立大、学習院が2勝候補といえるだろう。



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「特集」 関東・関西・九州大学シーズン展望
関東大学展望
今年は明大が昨年の雪辱に燃えている。 FWに英国遠征組が大量に入り、伝統の重量FWはますます健在だ。一方、昨年の覇者日体大も連覇に向けて着々とチームづくりを行い充実している。慶應、筑波もあなどれないが筑波は今季「台風の目」になりそう。また名門・早大がどう立ち直るか、注目される。そしてリーグ戦では久々に法大が復活のきざしをみせており他校を一歩リードしている。今シーズンへの興味は尽きない。
◆関東大学対抗戦グループ
- 陣容充実の日体大と明大が「2強」 -
☆ 筑波大 ☆☆☆☆☆
最重量FWを誇り、一番のダークホース
今シーズン、一番気になるチーム。ファンによって、それは様々だろうが、おそらく筑波大ということになるのではないだろうか。
ご存じのように、筑波大は英国から客員教授として招かれたグリーンウッド氏がコーチをしている。スコットランド代表のキャップを20も持ち、ブリティッシュ・ライオンズの主将まで務めた経歴の持ち主。現在、イングランド協会のスタッフ・コーチでもある。
そんな国際的な重鎮が、「日本は練習をやりすぎる。量より質が大事」と改革に乗り出したのだ。
どこをのぞいても地獄さながらなのが夏合宿。山中湖畔の筑波大だけが優雅な夏をすごした。猛練習こそ強くなる最短距離と信じる伊与田監督ら、日本人コーチングスタッフとの間に、まだ多少の混乱があるようだが、今季の「グリーンウッド采配」は興味津々である。
しかもFWが「重戦車」明大のお株を奪う関東一、いや日本一の85.5kgの重量を誇る。2年目の近江を中心としたフランカー陣の機動力もあって、迫力を感じさせるFWに成長した。
穴といえば首藤の抜けたSOぐらいだが、名手勝田主将がHB団をうまくリードするだろう。替え玉投票事件で、あたら交流試合への出場権を棒に振った悔しさもあり、戦力面からも期待が持て、成否を見守りたい練習法の改革とともに気になるチームといえる。(交流試合:当時の大学選手権出場枠は8枠であり、そのうちの関東4枠をかけて、リーグ戦グループと対抗戦グループ上位4校で行われた出場権獲得戦)
この年の筑波大学への期待度が高かったことは、
別記事「チーム短信」からもうかがえます。
毎年、出足好調の筑波大をみて、今年はやりそうだと思っても、シーズンが深まるにつれて下降線をたどっていくのが今までのパターンだった。
それも授業が4時55分まであり、練習は5時すぎに始まるという悪条件、秋の日は暮れるのが早い。部員がグラウンドに出るときはすでにボールもよく見えず、といったところで、他校にくらべ練習量の不足からスタミナ切れで戦力は低下。おまけに東京まで電車を立ちっぱなしで2時間もかかり、1試合消化したほどの疲労を背負っての試合というわけである。
しかし、今年はグラウンドに4基の照明灯がつけられ、練習量も十分。東京への試合も前日から出かけて泊まりこむという万全の態勢をとっているので、シーズンにかける意気込みはかなりのもの。今年の筑波大は勝田主将以下、やる気十分で、交流試合出場はもちろんのこと、学生選手権で日体大、明治、慶大の一角を崩さんものと虎視眈々である。
とにかく、今年の筑波は手ごわそうだ。例年に比べ本物の感触である。
☆ 明大 ☆☆☆☆☆
新人の成長で層も厚く、抜群の安定感
筑波大が上位陣を脅かすダークホースとするなら、優勝候補はどこだろう。V2ねらいの日体大もあなどりがたいが、ここは明大をあげるのが順当なようだ。
主将に任命されてわずか3日、左ヒザのジン帯を切断して戦列を離脱したファイター木村。2年目を大いに期待された河瀬も故障が重なり、北島監督の構想とはかなり違ったFWになったが、層の厚さがレベルダウンを感じさせない。ウェートでは筑波大に一歩譲る82Kgではあるが、破壊力はNO8瀬下の成長もあってナンバーワンの座をキープしている。
フッカーに日本学生の代表に選ばれた藤田、左のフランカーに英国遠征高校代表のキャプテン岸と2人のフレッシュマンが抜擢されているが、この2人もいい。
特に藤田は春、FBとしても使われたように機動力もある。木村主将のあとは、中谷と2年目井上で埋めるが、中谷は昨年のレギュラー、井上は豪州遠征高校代表と経験豊富。
北島監督も「FWは信頼できる」とバーンと胸をたたくほどだ。
バックスもSH窪田以下、FBの橋爪まで昨年のレギュラーが5人も残っていて心強い。SO砂村、渡辺和、金谷の両CTB、FB橋爪の縦の線が健在なのが一層期待をいだかせるが、北島監督は「両CTBが不安」だという。
確かに平井、井沢の目黒組の3年生コンビは、ここぞというときの決め手には欠けるようだ。しかし、むしろ不安なのは両CTBが故障した場合の控え。一本目と二本目では差がありすぎ、絶対に負傷することの許されぬCTBに一抹の問題を残している。
☆ 日体大 ☆☆☆☆☆
第一列目の穴を見事にカバー、HB団に難点
V2にかける日体大もすばらしいチームに仕上がった。大場主将以下、綿引、深沢と3人がそろって抜けたFW第一列。9シーズンぶりの学生日本一の原動力となった3人の穴がどこまで埋まるかが、今季の日体大FWの最大のポイントといえたが、あの強烈FWをささえてきた二本目だけのことはあった。
綿井監督は、この点を「去年のコツめいたものを覚えているようです」と語ったが、夏合宿での明大戦で、こんなシーンにぶつかった。
日体大がゴール前でPKを得たときのことだ。何と日体大は二度もスクラムトライをねらいPGではなくスクラムを選んだ。
結果は失敗だったが、「明大FWなにするものぞ」の気迫は、松本、内村のプロップ陣の自信の表れでもある。春以来のウェートトレーニングの成果もあってFWのパワーは昨年なみとみてよい。
綿井監督が「赤間二世」と期待する井場が、左腕骨折がいえて出場できるのも明るい材料だ。
ただ、バックスはHBとFBに不安が残る。ラインはピカ一でWTB辻ら去年のメンバーがずらりと並ぶが、それを動かすSO永山に芳野同様の期待をかけるのはどうみてもムリが生じる。FWとバックスをつなぐキーマンも1年生の小野だ。
各校のフランカーが充実しているシーズンだけに、かなりのプレッシャーを覚悟する必要がありそうで、HB団がV2へのカギとなりそうだ。
☆ 慶大 ☆☆☆☆☆
大量卒業生でメンバー一新、大型FWに期待
慶大が昭和47年以来保持している「3位以内」(注:この年は昭和54年です)の座を、ことしも守れるかどうか、この点もひとつの焦点だ。
FWの中で残ったレギュラーはフランカーの渡部ただ1人。バックスも卒業生が多く、まるで見知らぬチームのようになってしまった。正直いって苦しいシーズンだ。
だが、明るい材料もある。ラグビーのルーツ校としての長い歴史の中でも、史上初という大型FWが完成したことである。堀越コーチは「大きくはなったが緻密さがありません」というが、手持ちの駒を鍛え上げ、鍛え抜き、毎年それなりのレベルに引き上げてしまうのが「黒黄」の伝統だ。
夏合宿で、それこそボロ雑巾のようにしぼられて生まれてくる慶大のしぶとさ。これはやはり各校にとって脅威である。
80KG台がフッカー水谷の88Kgをトップに5人。サイズに泣いてきた慶大が、その弱点を埋めたとなると、残るポイントは経験不足をどこまで克服できるかだ。
経験不足という点では冨安-小西卒業後のHB団が慶大一番の問題点。桜井-市橋で埋めることになるが、ここがスムースに動かないと80KgFWの頑張りもカラ回りとなる恐れが十分にある。WTBの四津、大高にボールが回れば勝負になるが・・・・・。
☆ 早大 ☆☆☆☆☆
本城ら「新人・三羽烏」の頑張りに望みをかける
さて、問題の早大である。学生ナンバーワンの座から遠ざかって2年。他校から見れば「たった2年」だが、そうはいっておれないところに早大としての悩み、苦しみ、そして誇りがある。
8月17日から30日までの第一次、そして選手を40人あまりにしぼった9月4日から10日までの第二次と、2度にわたる異例の菅平強化合宿を張ったところに、3年目の復活にかけたOB、学生の意地が感じられる。
ただ、第一次合宿は不運に見舞われ、再建計画が大きく狂った。300万円かけてグラウンドに入れた新しい土がまだなじまないうちに大雨が降り、菅平一の悪いグラウンドになってしまったためだ。
バックスにSO本城、CTB吉野、FB津布久とフレッシュマンが3人も起用される若いチーム。やることがいっぱいある合宿での思わぬ災難は、それだけでひとつのハンディを負ったことになる。
第1戦が10月7日の対東大戦。幸い二次合宿が天候に恵まれ、開幕戦までにじっくり仕上げる時間を持てたが、首脳陣としては、やはりあせりを禁じ得ないだろう。
戦力面ではFWの第一列目が弱い。第二列、第三列の力は昨年以上のお力があるという白井監督も、ここだけはまだ未解決。76Kg弱の軽量FWは、肝心のプロップ陣がしっかりしていないだけに、ことしのアキレス腱ともいえる危険を含んでいる。
「揺さぶりの早大」として威力を誇ったバックスにも、ことしは危険が存在する。ヒザの皿を割り、昨シーズンをまるまる棒に振った日下が復帰し、SO、CTB、FBと、どこでもこなせるようになった明るい材料もある。
しかし、やはり広野、石橋、松尾の抜けた穴は大きすぎる。英国遠征の高校代表、そのメンバーの中でも飛び抜けた存在だった本城はじめ、フレッシュマン三羽烏がバックスを固めるが、早稲田の看板を背負わせるのは荷が重いのではなかろうか。
今年も早稲田は他校のレベルアップもあって苦しい。
☆ 青学 ☆☆☆☆☆
小笠原氏のコーチで、FWがパワーアップ
リーグ戦グループ代表との交流試合出場権を争う対抗戦の上位校は、前記の5校と思われるが、青学大が肉迫していることも今季の特徴だ。
かつての日本代表FWのファイター、小笠原氏(元近鉄)に臨時コーチをお願いし、FWが大きく成長した。
バックスからの卒業生はSH黒川ただ一人。これでFWがパワーアップしたとなれば、それこそ「鬼に金棒」である。49年日体大、50年慶大と大物を食った歴史が、ことしあたりよみがえることも十分考えられる。
☆ 立大、学習院 ☆☆☆☆☆
2勝候補の立大、学習院
新加盟のとし(昨年)に暴れた帝京大は大量卒業でレベルダウン。残る立大、学習院、成城大、東大、成蹊大はどんぐりの背比べ。立大、学習院が2勝候補といえるだろう。










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